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無口書店

好き勝手なエッセイ兼、本の感想。内にこもることこそ我が人生という方へ。

「普通って何?」って言ってるやつこそ普通。『ナンバーガール』谷川ニコ

ミニオンの一員になりたい」

これが私の願うことだ。

人間は、「変な人」「変わってる自分」に憧れる。

しかし、もとから「変な人」「変わってる自分」で、それを気にしてしまってる場合、「普通」を渇望する。

「普通って何?」という、よくある台詞がある。青春における代表的な疑問だ。言ったやつがかっこよく見える呪文。

ただ、それは屁理屈だ。

「普通って何?」と言えること、それが「普通」である。

「普通って何?」こそ、「普通」である。だから、安心してほしい。すでに、普通を己で体現できているのだ。

「普通」から「変」にはなれる。演じればいい。そこからその「変」に違和感を持てば、「普通」というホームグラウンドにいつでも戻れる。

しかし、「変」から「普通」になるのは難しい。

自分をねじまげねばならない。演じるのはハードだ。

私は、猛烈に社会に溶け込みたい。しかしながら、それはできなかった。

憧れるあまりに、「見た目が同じキャラがわちゃわちゃしている」姿に猛烈に惹かれる癖がついた。

ミニオンなんて、理想だ。やつら、どれもこれも同じに見える。でも、実は髪の毛の数や、輪郭や、目の数が、良く見れば違う。でも、その違いがあれど、カレーの具材のように、ぐだぐだと、一体化している。違うし、同じ。同じだし、違う。これは、社会である。理想的な。

そして、『ナンバーガール』という作品。『わたモテ』の谷川ニコが描いている。あ、連載は終了した。

ナンバーガールも、見た目がほぼ同じのクローンの女の子たちの、学園生活がギャグでかかれている。それぞれの目には、固体識別の番号が書かれている。性格にも実は個体差がある。でも、全体的に、同じやつらがぐだ~っと、溶け合っている。

ミニオンナンバーガール、あとなんだろう、千と千尋金平糖運んでるやつ?とか、なんかそういう同じやつがワチャワチャしているそれらの光景は、私に安心を与える。

その集団に入れば、個々のちょっとした違いなんて、お互い受け入れて、生きていけそうだ。

まあ実際ナンバーガールでは、いじめられるやつとか出てくるが。そこが、ブラックでリアルな谷川ニコの好きなところ。

ミニオンで一番好きなのは、末っ子体質の、一番可愛らしいボブ。

ナンバーガールでは、ひとりだけ大きな赤いリボンを付けた「13(サーティーンス)」。

両方、一番目立つやつを結局好きになってしまっているが、それでいい。きっと、私がボブになっても、「13」になっても、彼らは、受け入れてくれる気がする。

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